裁判の判決で、労災と認められたとか認められなかったとか言う話を、ニュースでよく耳にすると思います。労働災害と認められるためには、厳密な条件が決められています。
ただし、事故の原因が業務と関係ない場合は、労災として認められません。例えば、通りすがりに人に殴られただけなら労災にはなりませんが、ガードマンが人を制止しようとして殴られたのならば、労災になります。
出張中や外回りの仕事の時には、会社から離れる事になりますが、その時は会社の外が仕事場と言う事になりますので、労災になります。
仕事時間中に、トイレに立ったり、お茶を飲んだりしている時は、仕事をしていないと言う事になるのですが、これは動物としての仕方のない行動ですので、例外扱いになり労災になります。
同様に、反射的に体が動いてしまった時など、例えば、帽子が飛ばされたので反射的に手を延ばしたら転がり落ちたと言った場合でも、労災になります。
ただし、通勤の途中で仕事をする場合(家から直行で出張先へ行くとか、道すがら荷物を回収するとか)は、これは通勤ではなく仕事中なので、通勤災害ではなく労災になります。
通勤途中で寄り道をした場合は、寄り道をした時点から先は通勤ではなくなります(少しだけ例外があります。病院に寄ったとか、コンビニに寄ったとか)。会社内でのクラブ活動のために早出したとか帰りが遅くなったとか言う場合でも、その時間によっては通勤ではなくなります。
労災保険は、事故の賠償金を肩代わりしてくれる事業主のための保険ですが、その保険給付は直接労働者に対して支払われます。支払われた段階で、その金額分だけ、労働者は事業主に対しての損害賠償を請求する権利を失う事になります。
労働者が事業主の責任を証明しなくてもいい代わりに、補償されるのが6割に割り引かれています。もし、裁判などで事業主の責任が6割ぽっちではないと言う話になった時には、足りない分を事業主が払わなければならなくなります。
労災保険による6割の補償ではやっぱり生活に困るケースが多い事から、国の特殊法人から労災保険の給付に上乗せするお金が支給されます。これは、保険金を払った結果としてもらえる保険給付ではなく、国の福祉(ほどこし)として支給されます。