■●雇用保険
加入義務の範囲
サイト目次を飛ばして本文へ



●雇用保険
加入義務の範囲

事業所

 雇用保険と労災保険は「労働保険」と言うセット売りになっていてバラ売りはしていません。ですから、入らなければならない事業所の条件は、労災保険とほとんど大差がありません。
 原則として、人を一人でも雇っている所は、雇用保険に入らなければならないのですが、雇った人の全員が雇用保険の条件に当てはまらない場合は、加入の手続をしても意味がないので、この場合はうっちゃっておいても別に怒られはしません。

 入るのは、会社ごとではなくて、事業所ごとになります。つまり場所ごと(支店ごと、お店ごと)に入る事になりますが、そんな事していたら手続がめんどくさいと言う場合は、「本社でまとめて手続します」(継続事業の一括)と言う届出を出す事になります。

 個人経営のごくごく一部の小さな農林漁業には例外があって、「入るか入らないかは自由」になります。(例外の範囲が、労災保険よりもごくわずかに広い)

 建築業は、労災保険の様な「現場ごと」と言うのではなくて、他の業種の会社と同じ様に事業所ごとに入る事になります。「現場」の考え方がありませんから「元請け」「下請け」の区別もありません。自分の所で雇った人を自分の所の雇用保険に入れてあげます。

 船の場合は、船員保険が雇用保険の代わりをしますので、船員保険に入っている人は雇用保険に入る必要はありません。

労働者

 普段働いている人が失業した時のための保険ですから、普段から仕事がなくて時々働く様な人は保険の対象にはなりません。失業したら困る人が、保険の対象になります。

ずっと働いている人

 失業すると深刻に困る人達です。正社員はもちろん、条件に当てはまるのならば、パートやアルバイトも入ります。

  • 1年以上勤め続ける予定の人
  • 1年以上勤めている人
  • 65歳未満の人
  • 週の所定労働時間が20時間以上の人
65歳以上の人
65歳になる前からそこで勤めている人(65歳になる前からその会社で雇用保険に入っている人)は、雇用保険に入り続ける事になります。離職した時に、今まで保険料をかけて来たごほうびとして保険金がもらえます。
65歳になってから就職した人は「失業した時の困り度が少ない」「就職のチャンスを若者に譲って欲しい」と言う事で、雇用保険に入れません。
週20時間を切る人
「その人ひとりで家系を支えていると言うわけではなさそう」「失業した時の困り度がフルタイムほどではない」と言う解釈から、雇用保険には入れません。
学生さん
昼の学校に通っている学生さんは、学生が本業で仕事が副業なので、雇用保険には入れません。逆に夜学の学生さんは、仕事が本業で学生が副業なので、雇用保険に入れてあげなければなりません。
外国人
日本に永住している外国籍の人はもちろん、海外から出稼ぎに来ている人にも雇用保険は入れてあげなければなりません。しかし、仕事をやめたらすぐに国に帰ってしまう人は、保険金をもらわない事が最初からわかっているので、雇用保険に入れてあげる必要はありません。違法な人は、発覚した時は即刻国外退去になって保険金をもらえないので、雇用保険に入れてあげた所で保険料が無駄になるだけです。
パート
週の勤務時間が20時間以上であれば、年収にかかわらず入れてあげなければなりません。以前は年収見込が90万円以上と言う条件もあったのですが、2001年4月にこの条件がなくなりました。

出稼ぎの人(季節的業務)

 出稼ぎの人は、最初からやめる事がわかっている(失業が予定されている)ので、雇用保険には当てはまらないのですが、長く勤めた人達にはごほうび的な保険金が出ます。ですから、4ヶ月以上の契約をしている人や、4ヶ月にならない契約でも契約を更新した人は、雇用保険に入れてあげなければなりません。

日雇の人

 日雇も立派な職業だと言う事で、日雇の人も雇用保険に入りますし、失業すれば保険金も出ます。ただし、担当地域に寄せ場のある公共職業安定所でしか、取り扱っていません。朝に寄せ場に来たのにその日は仕事にあぶれてしまった場合に「今日は1日失業した」と言う事で、日雇の人達は公共職業安定所からあぶれ手当をもらいます。
 ですから、寄せ場で人を手配して雇う会社は、雇用保険に入らなければなりません。

 日雇の人は毎日勤め先が変わる可能性だってあるので、本人に手帳を持たせ、会社がその手帳に保険料として印紙を貼ると言う特別の方式で、雇用保険をかける事になります。この印紙代(96円〜176円)は労働者と割り勘なので、半額を本人負担分として給料から天引きします。その上さらに、普通の社員と同様に、給料の0.8%を本人負担分として天引きし、1.25%の会社負担を足して、雇用保険料を払う事になります。



吉田社会保険労務士事務所 (c) NYAN@chimaki-tei 2001/2015
お問い合わせ先