雇用保険と労災保険は「労働保険」と言うセット売りになっていてバラ売りはしていません。ですから、入らなければならない事業所の条件は、労災保険とほとんど大差がありません。
原則として、人を一人でも雇っている所は、雇用保険に入らなければならないのですが、雇った人の全員が雇用保険の条件に当てはまらない場合は、加入の手続をしても意味がないので、この場合はうっちゃっておいても別に怒られはしません。
入るのは、会社ごとではなくて、事業所ごとになります。つまり場所ごと(支店ごと、お店ごと)に入る事になりますが、そんな事していたら手続がめんどくさいと言う場合は、「本社でまとめて手続します」(継続事業の一括)と言う届出を出す事になります。
個人経営のごくごく一部の小さな農林漁業には例外があって、「入るか入らないかは自由」になります。(例外の範囲が、労災保険よりもごくわずかに広い)
建築業は、労災保険の様な「現場ごと」と言うのではなくて、他の業種の会社と同じ様に事業所ごとに入る事になります。「現場」の考え方がありませんから「元請け」「下請け」の区別もありません。自分の所で雇った人を自分の所の雇用保険に入れてあげます。
船の場合は、船員保険が雇用保険の代わりをしますので、船員保険に入っている人は雇用保険に入る必要はありません。
普段働いている人が失業した時のための保険ですから、普段から仕事がなくて時々働く様な人は保険の対象にはなりません。失業したら困る人が、保険の対象になります。
失業すると深刻に困る人達です。正社員はもちろん、条件に当てはまるのならば、パートやアルバイトも入ります。
出稼ぎの人は、最初からやめる事がわかっている(失業が予定されている)ので、雇用保険には当てはまらないのですが、長く勤めた人達にはごほうび的な保険金が出ます。ですから、4ヶ月以上の契約をしている人や、4ヶ月にならない契約でも契約を更新した人は、雇用保険に入れてあげなければなりません。
日雇も立派な職業だと言う事で、日雇の人も雇用保険に入りますし、失業すれば保険金も出ます。ただし、担当地域に寄せ場のある公共職業安定所でしか、取り扱っていません。朝に寄せ場に来たのにその日は仕事にあぶれてしまった場合に「今日は1日失業した」と言う事で、日雇の人達は公共職業安定所からあぶれ手当をもらいます。
ですから、寄せ場で人を手配して雇う会社は、雇用保険に入らなければなりません。
日雇の人は毎日勤め先が変わる可能性だってあるので、本人に手帳を持たせ、会社がその手帳に保険料として印紙を貼ると言う特別の方式で、雇用保険をかける事になります。この印紙代(96円〜176円)は労働者と割り勘なので、半額を本人負担分として給料から天引きします。その上さらに、普通の社員と同様に、給料の0.8%を本人負担分として天引きし、1.25%の会社負担を足して、雇用保険料を払う事になります。