■●雇用保険
社員の福利のために
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●雇用保険
社員の福利のために

 労災保険が事業主のための保険であるのと違い、雇用保険と健康保険と厚生年金の3つは、純粋に労働者のための保険となります。

 労働者は自分の労働力を切り売りする事によってお金を得ます。世の中、建前上は労働者と使う側は対等にはなっていますが、実情としては労働者は生活して行くのに足りるぎりぎりの金額で使われているのがほとんどです。そのために、いざ失業をすると、その日から生活が立ち行かなくなるので、そう言う人達を守る社会的な何かのしかけが必要になって来るのです。
 実際、雇用保険に入ったからと言って、会社にとってトクになる事は少ないのですが、「みんなで得た利益はみんなで分けよう」と言う社会主義的な点からか、「困っている人はみんなで助けよう」と言う福祉的な点からか、当の労働者本人だけではなく、国も、労働者を使っている事業主も保険金を払って、雇用保険を支えて行こうと言う仕組みになっています。

 雇用保険と健康保険と厚生年金の3つは、労働者本人のための保険なのですが、「人を使うからには、この位の福利厚生はしてあげなさいよ」と法律で定められているもので(「法定福利」と言います)、会社にはこの保険に入る入らないの自由はありません。

 社員個人のための保険金の半分を会社が持たなければならないのですから、経費が増えるばかりで仕方ないなぁとはお思いでしょうが、雇用保険に入れてあげたと言う事で、社員の皆は「会社は僕たちの事を考えてくれてるんだな」と実感でき、やる気が上がりますから、ひいてはそれが会社の業績向上にもつながります。
 また、従業員の募集をかけるにしても、労災・雇用・健保・年金に入っていない様な会社はどう言う会社なんだろうかと怪しまれ、いい人材が寄りつかないと言う事もあります。

 実を言うと、雇用保険に入っていると、育児休業や介護休業をするのに会社の籍を抜かずに休業するのであれば、その間出なかった給料を雇用保険が補ってくれるとか、60歳を超えてもやめてもらわずに雇い続ける事にしたけど給料を下げる場合に、その下がった分を雇用保険が補ってくれたりもするので、事業主にとっても決して使えない保険でもないのです。

 また、厚生労働省の助成金は「雇用保険に入っている事」と言う条件のものが大半なので、その他の条件が全部当てはまっていても雇用保険に入っていないと何の助成金ももらえない事になります。



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