■資格をどう活かすか
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資格をどう活かすか

 皆さんがよく勘違いしているのですが、資格はお金を産んだりはしません。資格は道を拓くためのパスポートとも言われますが、そんな事もありません。
「資格は商売のためのツールである」と言うのが、一番正解に近いのではないかと思います。
 そこで質問です。皆さんは社会保険労務士と言うツールで、どんな商売をしようと考えていますか? 多分それがわからないからここを読んでいるのではないかとは思いますが。

「こうして成功した」と言う本やメルマガをよく見かけますが、そう言うものに惑わされてはいけません。世の中には生まれつき商売の才覚に秀い出た人と言うのがいるもので、そう言う人達が自分の考えと直感と行動力でもって成功を収めるのです。もちろん社会保険労務士の中にもそう言う人達が少しばかりいて、大きな事務所を構えるまでに至っています。

 サクセスストーリーやマニュアルやここを読んで何かを参考にしようとしている時点で、すでにあなたはへーへーぼんぼんな一般人です。商売の才能を持ち合わせていないので、地道に地味に経験を積み重ねていく以外に道はありません。
 最初にその点の意識改革をしてから、どんな商売にして行こうか考えてみましょう。

 社会保険労務士は別に何か特殊な商売と言うわけではありません。営業を始めるのに免許が必要なだけであって所詮は自営業なのですから、やる事は町の八百屋と違いはありません。そこの所をしっかりと把握出来ていないと、最初の一歩でいきなりけつまづいてしまいます。
 社会保険労務士は人の働き方をデザインするお仕事なのですから、最初に自分の働き方をデザインしてみましょう。再就職を試みる人に対してよく言われる言葉なのですが「まずはあなた自身の『棚卸し』をしてみましょう」です。その棚卸しで出て来たあなたの資産(長所や得意分野や経験)を組み合わせれば、自ずと商売のやり方が見えて来るはずです。

社会保険労務士の資格は就職に有利か?

 一般の会社内で社会保険の書類をさばくのに、社会保険労務士の資格は必要としません。労務管理に関心の薄い会社も多いので、社内での社会保険労務士資格の需要はそんなにないと思います。

 逆に「社会保険労務士の勉強をした人」は「労働法にやたらと詳しい人」になりますから、社長さんの立場からすれば「できれば雇いたくない人」になってしまいます。一般の会社への就職であれば、社会保険労務士の資格はかえってマイナスに作用してしまうので、注意が必要です。

 積極的に労務管理に取り組もうとしている会社は、おそらく外注する事になると思うので、やはり需要薄です。
 需要があるとしたら、コンサルタント集団か、社会保険労務士事務所になってしまうのではないかと思います。

どこかの社会保険労務士事務所で学べないか?

 よく考えてみましょう。

「私は、八百屋になりたいので、あなたの所で修行させて下さい」と言って、雇ってくれる八百屋さんがあると思いますか?
 社会保険労務士事務所でも、それと同じです。ずぶの素人をせっかく手塩にかけて一人前に育てても、いきなり独立されて商売敵になっちゃいます。もしかしたら、独立する時にお客さんをごっそり引き抜かれるかも知れません。そんな人材は欲しくないのです。

 独立する予定である事を隠して社会保険労務士事務所に入る事が出来ても、そこをやめる時に必ずトラブルになります。いずれは独立するつもりなら、どこかで修行などせずにいきなり独立してしまった方がよいでしょう。

 しかし「こんな業界の現状はよろしくない、インターン制度が必要なのではないか?」と言う機運が芽生え始めているので、県会や社会保険労務士事務所を訪ねるのは無駄ではないと思います。
 また愛知県では、社会保険労務士事務所に就職希望の求職を県会で取りまとめて、会報に掲載しているので、社会保険労務士事務所への就職はそのルートが黄金のパターンの様です。

実務経験がないのが不安

 よく考えてみましょう。

 私たち社会保険労務士が扱う書類は、会社の中では社長の奥さんやパートのお姉さんが書いている書類ばかりです。誰にでも書ける様に裏面には懇切丁寧に書き方が説明されていますし、わからない事はお役所に電話すれば手取り足取り教えてくれます。
 誰にでも書けるんですから、そんなもんはすぐに慣れます。経験皆無でも堂々とお客さんをゲットしてしまいましょう。

 独立後に、そこでつまづく人が多いみたいですが、実はこのハードルはとても低いものであって、他に乗り越えなければならないハードルは次々とやって来ます。こんな瑣末な事をいちいち気にしない様にしましょう。「難しい試験を合格したんだ」と言うプライドは捨てて下さい。
 手っ取り早く経験値を稼ぐ方法として、行政協力に参加すると言う方法があります。たった1日で何十枚もの「他人の書いた」書類を目にする事になるので、あっと言う間に目が肥えます。

 書類書きの経験よりも大切なのは、やっぱりケースワーク(場数)で、これは勉強会に積極的に参加したり、お客さんに接して問題解決したり怒られたりしながら、経験値を上げて行くしかありません。

営業方法は?

 先輩社会保険労務士の誰に聞いても、答えは同じでした。「そんなもん、自分が知りたい」

 営業には、実に色々な方法がありますが、実は、営業には王道がないのです。ものの本やサイトやメルマガでよく「この方法でなければ」と書かれているのを見かけますが、その方法が万人にとっての最良の方法とは限りません。
 いつまでも不得手なものにかかわっていても、どんなに努力したってお客さんは来ません。その人その人によって、最良となる方法が違うのが、営業と言うものです。

 ですから、あなたにとっての最良の方法を、一生懸命探さなければなりません。(と言うか、商売の才覚のある人なら、そもそもこんな事で迷ったりなどしません)

年収はどの位になるのか?

 社会保険労務士に限らず一般的な職業では、一人の人間が一生懸命頑張って稼ぎ出す事の出来る年収の限度は2,400万円と言われています。過労で死ぬかも知れないと思うほどに根を詰めれば、2,900万円ほどにはなるらしいです。それ以上稼ぎたければ人を雇い、その人の稼ぎ出す売り上げを搾取するしかありません。

 社会保険労務士に関して言えば、他の職業よりも商売が下手な人達が集まる傾向にあるので、普通の人で400万円〜800万円程度の様です。

 商売の才覚のある人は、ものの半年で商売を軌道に乗せ、初年度で1,000万円を売り上げる人もいます。
 へーへーぼんぼんな一般人だと「形になるのが3年、単年度黒字になるのが5年、累積赤字が解消するのが7年」とも言われています。(「3年間食えるだけの貯金が必要」と言う言葉は、この辺から来ているのでしょう)

どんな人が社会保険労務士に合っているのか?

 血液型で言うと、B型の人が多い様です。次に多いのがO型になります。
 どうやら「人に使われるのが嫌いなB型」と「やたらと理屈っぽいO型」が、気がついたら社会保険労務士になっていたと言う感じの様です。

 性格的には、「世話好き」な人が一番合っている様です。
 聞き上手である事がとても大切な仕事ですが、話し上手である必要は必ずしもない様です。(話すのが苦手な人でも、そのうち慣れます)
 時には社長さんをお説教しなければならない場合もあるので、普段から高飛車な人は向いていません。そう言った意味で、ストレートに合格してしまった(社労士試験に落ちた経験のない)人は、ちょっと不利みたいです。

 日々勉強を続けて時代や法律の変化を追いかけなければならないので、勉強嫌いだと辛いかも知れませんが、社労士試験を合格して来た人なら、大丈夫でしょう。

 もちろん、これらの条件に合っていない人が社会保険労務士でやって行けないかと言うと、そんな事はありません。
 他の士業と比べて、一番多彩な人材が集まるのが社会保険労務士だと言われています。



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