勉強方法

 よく「暗記が勝負」「暗記ではダメだ」論争を聞きますが、正直言って暗記で解ける様な試験ではありません。選択式は法文の穴埋めなので当然呪文やお経の様に繰り返し読んで覚える事が必要ですが、一方の択一式は応用力を試すための試験なので、暗記したってキリがなく、逆にひっかけ問題にひっかかりやすくなります。

 どの法律も歴史のある法律で、手あかがつくほど手直しが繰り返されていて、つぎはぎだらけになっています。おまけに付則や省令や通達で運用されている部分の方が多く(弁護士が「こんなの法律じゃねぇ」と言って逃げ出すのが、我々の勉強している諸法令です)、大変勉強が難しいのは確かです。

 しかし、法律がその規程を設けているのには、必ず理由があります。細かな数字ひとつにも、その数字に決まった根拠が必ずあるのです。それをひとつひとつ(覚えるのではなく)理解する事により、その法律を自分のものにして、その道の専門家になる、と言うのが、結局は社会保険労務士になるための受験勉強だと思いますし、問題作成者もその辺を問うて来ているのではないかと思います。

 暗記だけの怪しげな通信教育や、基本書棒読みの講義に惑わされず、法律の背景について多くを語る先生を探しましょう。そんな先生の講義を受講し、ひとつひとつの項目について理解できるまで調べて調べて聞きまくる…そんな勉強の仕方をしていれば、ある日突然問題がスラスラ解ける様になります。これがまさに「法律が身についた瞬間」なのであって、それが合格につながるばかりではなく、合格後にも「使える知識」になるのではないでしょうか。

 ちなみに、受験のために始めた勉強は、合格したらそれで終わりではなく、実は合格後も延々と続けなければなりません。法律が日々変わっていると言うのはもちろんですが、プロとして新しい知識を常に身につけておかなければ業務に支障があるためです。そのため社会保険労務士は本当に研修が多く、他の士業と比べても飛び抜けて勉強熱心とも言われています。
 社会保険労務士の商売は、仕入れがないから経営が楽だと思っている方がいますが、それはとんでもない間違いです。私達が売るのは、知識です。その知識をお金と時間をかけてどんどん仕入れて販売して行くのが、社会保険労務士の商売なのです。ですから、その仕入れのやり方(勉強方法)を受験の頃からしっかりと身につけておくと、後々必ず役に立つ事になります。



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