■勉強方法−教科別
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勉強方法−教科別

労働基準法

 法律について直接問う問題はほとんど出ず、法の精神や考え方について問う問題が多く出ます。そのため、この教科を苦手とする人が多い様ですが、要は「常識を問われている」と言う事に他ならないので、なぜその規定があるのかと言う点に着目して勉強して下さい。

 勉強を始めるに当たって、まずはこの本を一読しておく事を勧めます。

あゝ野麦峠 ある製糸工女哀史
著者:山本茂実 角川文庫 500円+税
クロネコヤマトのブックサービス , e-hon 全国書店ネットワーク

 この本はよくプロレタリア文学の代表の様な誤解をされていますが、実際には使用者と労働者との双方の当事者から聴き取り調査をしたものをまとめた調査報告書になっていて、プロレタリア文学的な思想の偏りが全然ありません。どうして労働基準法が今の内容になっているのか、その理由の全てがこの本の中に詰まっているので、必ず労働基準法の理解の力強い手助けになります。
 勉強が忙しくなって来ると読む暇がなくなります。まだ勉強し始めの頃に読みましょう。

労働安全衛生法

 その昔、労働基準法の一部に労働安全のための基準が定められていたのですが、年を追う毎に分量が膨大になって来たために、分離独立させて単独の法律になったものです。ですから、強いて言うなら、労働基準法と労働安全衛生法はふたつ揃って一人前の法律であると言えます。

 中身は全て、過去にそれが原因で実際に起こった死亡事故を受け、再発防止のため作られた規制が並べられているだけです。
 勉強法としてはひたすら暗記するしかありません。もしも時間に余裕があるのなら、理解の助けになる様に、機械や物質について絵や図を見てみたり、安全衛生管理体制について実際の会社でやっている事を知ってみたりするとよいかも知れません。
 覚える事が底なしで膨大なため、あまり深追いせずに、ある程度覚えたら切り上げ、その分他の教科を覚えるべきかと思います。

一般常識・労働

 会社で労務管理をやっている人にとっては常識な事が出題されます。この教科を極めるには、労務管理の通になるしかありません。一朝一夕には通にはなれないので、用語集を買ってきて目を通したり、労務管理について書かれたビジネス書を読んだりして、「にわか通」になるしかないでしょう。
 労働統計については、一般常識・社会と同様に、新聞やテレビの報道に注目する様にして、世相に敏感になっていて下さい。

一般常識・社会

 社会保険の精神や考え方について出題されます。社会保険が今日の様な形になったいきさつや、社会保険が現在抱える問題点などについて、他人に啓蒙できるだけの通になって下さい。新聞やテレビの報道に注目していれば、半年も経てばかなりの通になれます。
 ただし、世間一般で言われている事と、厚生労働省の主張とが食い違っているケースがままあるので、厚生労働省(出題者)の意図しているのは何かと言う事を念頭に置いて回答する必要があります。

その他の教科

 その他の教科は、全て手続きを定めた法律です。

 受験生や講師はおろか、現役の社会保険労務士でも多数の人が勘違いしているのですが、行政は法律に定められているから法律通りに事務処理をしているのではありません。何かの事務処理を実現したいから、その事務処理がスムーズに運ぶ様に法律を作るのです。

 私企業でもお店が1店舗だけの場合は、ローカルルールを少し作るだけでサービスを行う事ができます。しかし全国チェーンの場合、全国一律のサービスを行おうとすると、マニュアルを細かく作って全店に配布し、マニュアル通りのサービスをしなければならなくなります。
 行政でもこれは同じで、全国どこの窓口でも同じ判断基準で同じ対応で同じ手続きが進む様にしなければならないと言う事情があります。ただ、国のする事なので、マニュアルで済ますわけにはいかないので、マニュアル代わりになる法律を作るのです。

「その法文は、どう言う事務処理を実現しようとして作られたのか」と言う点に着目して、勉強をしてみて下さい。法律がそう規定しているのには、必ず事務処理が要求する理由があるはずです。その理由とは何かを考えて理解すれば、法文を暗記する必要などありません。



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