本来は、年金は保険なのだから、元が取れるだの取れないだのと言う事を考える事自体がおかしな話なのです。しかし、年金と言う保険が補償してくれる事故が「老化」で、ほとんどの人がその事故に遭う可能性があり、「もらわない人の方が少ない」保険なので、どうしても保険ではなくて貯金として見てしまいがちになるのは仕方がない事だとは思います。
ならば試しに、現在の保険料率と支給率の数字を使って、損益分岐点を計算してみしょう。
どちらも、8年で元が取れる計算になります。この8年と言う数字には、ちゃんとした根拠があります。
男女をちゃんぽんにした時の平均寿命が、現在81歳です。国は、年金をもらい始めてから16年で元が取れる様に、年金を設計しています。65歳からもらい始めて81歳でトントンになるのです。この数字は、ちゃんと平均寿命と帳尻を合わせた数字なのです。
私たちは、その必要なお金の半分だけ払っていると言う計算になります。これは、預かったお金を金庫に閉まっておくのではなく、色々使ってもらってお金を増やしていると言うのも大きいのですが、年金の1階部分の保険料のうち、私達が払っているのは実は2/3だけであって、残りの1/3は国が保険料を払ってくれていると言うのが、とてもとても大きく効いているのです。(あと数年すれば、この1/3の比率が、1/2になります!)
この国が出したお金は、どこから来ているのかと言うと、これは皆さんが払った税金から来てるんです。
ここでよく考えてみましょう。皆さんが払った税金から、年金の保険料が払われています。そこで、皆さんが「国の年金なんか、払うのイヤだ」とか言って、年金を払わない代わりに貯金したり民間の生命保険に入ったら、どうなるでしょうか? 税金経由で年金に払ったあなたのお金が、丸々他人の年金のために使われ、自分には何も返って来ないのです。
この様なしくみがあるので、国の年金は、民間のあらゆる金融商品と比べても倍近いリターンがあり、民間がどれだけ努力しても絶対に太刀打ちできない金融商品になっているのです。
で、ぶっちゃけた話、年金は元が取れるのかと言う事なのですが、それは「あなたは何歳で死ぬのですか?」と言う質問に答えてもらわないと、誰も答える事ができません。たとえ、何歳まで生きて、何歳で死ぬと言う予定を決めていたとしても、その通りに生きれて死ねるはずがありません。閻魔帳にどう書かれているのかは、浮世の私達には決してわからないのです。
一応、「人並みに生きるつもりなら、大丈夫です」とだけ、答えておきます。