■年金は保険である
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年金は保険である

 そもそも年金とは一体何なのでしょうか?
 まず最初に、辞書で調べてみました。

ねん‐きん【年金】
 年を標準として定めた金額を定期的に給付する制度のもとで、支払われる金銭。(広辞苑 第四版)

 年単位で決められた金額を、支給するのが年金、と言う事らしいですが、今ひとつよくわかりません。
 結論から言ってしまうと、日本の年金制度は保険の一種なのですが、ならば、保険って一体何なのでしょうか?

ほ‐けん【保険】
 死亡・火災などの偶発的事故の発生の蓋然性が統計的方法その他によって或る程度まで予知できる場合、共通にその事故の脅威を受けるものが、あらかじめ一定の掛金(保険料)を互いに拠出しておいて、積立金を用いてその事故(保険事故)に遇った人に一定金額(保険金)を与え、損害を補償する制度。(広辞苑 第四版)

 わかりやすく書き直すと、こう言う事になると思います。

  1. 保険料を払っておき (みんなで保険料を出し合い)
  2. 事故があった時に (事故があって困っている人に)
  3. 保険金をもらう (保険金を払って助け合う)

 身近な所では、生命保険(死んだら遺族に当面の生活費が出る)や、自動車保険(事故ったら相手への弁償を肩代わりしてくれる)、火災保険(家が燃えちゃったら再建費用をくれる)、最近の流行ではガン保険(ガンにかかったら入院費をくれる)などがあるでしょう。

「どうして、歳を取るとお金がもらえるのが、保険になるの?」と言う声が聞こえて来そうですが、つまりはこう言う事なのです。
「働けなくなってしまった時に備えて、かけておく保険」これが年金です。
 年金での「事故」とは、何かの理由で働けなくなり、生活のための収入がなくなってしまった、と言う事になります。
 具体的には、こんな「事故」があります。

  • 歳を取ってしまって、働けなくなってしまった (老齢年金)
  • 障害者になってしまって、働けなくなってしまった (障害年金)
  • 死んでしまって、働けなくなってしまった (遺族年金)

 収入への道が断たれ、いきなり生活できなくなってしまいます。そんな時の生活費を支払ってくれるのが、年金なのです。
 皆さんがよくカン違いしているのが、年金は老後のためだけのものと言う点なのですが、そうではありません。老後だけではなく、障害者になっても、死んでしまっても、同じ年金制度の中から生活費をもらう事ができるのです。

 ここまでを理解していただくと、大変重要な事がいくつか見えて来ると思います。

 まず、年金は、積み立てではないと言う事です。保険ですから、加入早々に事故にあえば、払った保険料よりもたくさんのお金がもらえる事になりますし、いつまでも事故がなければ損をします。
 いや、損と言う言葉は適切ではありません。世の中のどの保険でも全て同じ、「お金を出して、安心を買う」ズバリこれが保険なのです。

 そして、年金は保険ですから、当然の事として保険料を払ってない人には保険金は出ません。自動車保険のお金をちょっと払い忘れたがために、事故があってから途方に暮れる、なんて話はよく耳にすると思いますが、これと同じです。「老後の事なんか今から考えないよ」とか言って年金の保険料をほったらかしにしていて、ある日突然障害者になってしまって、けれども年金が出ず、いきなり生活できなくなってしまう人があまりにも多く、社会問題にもなっています。



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