社会保険の保険料は、後払いです。毎月請求書が来ます。
先月の分の請求書が今月に来て、今月の給料から天引きして、今月末日に払います。前払いで概算ドンブリな労働保険の保険料と違って、経理操作は出入りをそのまま振り替えればいいだけなので、簡単です。
よく間違えるのが「何月分の請求だっけ?」「天引きしているのは何月分?」と言う事。今月に来る請求書は先月分であると言う事、今月の給料から天引きするのは先月分であると言う事、これがよくこんがらがってわかんなくなっている会社が多いです。
毎月の事ですから、最初の1回目に間違えると、後でなかなか直す事ができません。現実、当月分を当月の給料から天引きしている会社が多数派になってしまっているので、最初の1回目は充分注意して下さい。
同様に、この「ひと月ズレ」のために、費用を各支店に振り分ける作業を決算の時にまとめてやっちゃおうと考えていると、社員の異動があった時などにこんがらがって上手く行きません。毎月、給料が出るたびに振り分けた方が無難です。
めんどうだからと言って「当月分の給料からは、当月分の保険料を引いちゃえばいいじゃないか」とやると、今度は請求書と天引きとがひと月ズレる事になるので、経理が難しくなってしまいます。
本人から年金手帳を預かります。本人の届出と、扶養家族がいる場合は扶養の届出をします。
本人の届出では、その人の給料の見込額を記入する必要があります。この見込みが大きくズレていた事が後で発覚すると、修正の手続きをしなければならなくなりますし、保険料の差額もバッチリ請求されてしまいます。諸手当はもちろん通勤手当や残業代の見込額まで、きちんと見積もって計算します。
年金手帳を添えて提出します。
年金手帳に不備がなければ、割に簡単な手続です。
扶養については、条件に当てはまるかどうかを見るために、色々な書類をつけなければならないケースもあるので、社会保険事務所に問い合わせをした方がいいです。
妻が扶養家族になる場合は、妻の国民年金の手続きをするために妻の年金手帳も必要になります。
少々面倒な手続です。
届出をすると、1週間ほどで健康保険証と年金手帳が返って来ます。健康保険証は本人に渡します。
法律では年金手帳も渡す事になっていますが、年金手帳を預かる会社の方が多数派です。年金手帳はどさくさに紛れてなくす人が多い(特に若い人ほど簡単になくす)ので、親切心でもって会社で保管してあげた方がいい様です。「自分の手もとに置いておかないと不安だ」と言って来る社員がいた場合は、後になって渡したか渡していないかがわからなくなってトラブルになりますので、返却済証みたいなものを作って、その返却済証を他の人の年金手帳と一緒に保管する様にします。
本人から健康保険証を回収して、それを添えて届出をします。
保険証の回収さえできていれば、簡単な手続です。
預かっていた年金手帳を本人に返せば、手続は完了です。
それぞれの人の保険料は日割りにはせずに、月単位で決める事になっていて、月の末日に入っていたかどうかで保険料を払うのかどうかの判断をします。
入社日が末日で、その月は1日だけと言う人でも、その月の分の保険料は払わなければならない代わりに、逆に、末日の前日にやめた人は、たった1日少ないだけで、その月の保険料を払う必要がなくなるのです。
一方、月末にやめた人の場合は、その月の分の保険料は払わなければならなくなります。この場合は、前月分とやめた月分のふた月分の保険料を一度に天引きしてもいい事になっています。
条件がそろえば、会社をやめた後でも健康保険に入り続ける制度があります。本人の相談に乗ってあげていただければと思います(手続の期日がとても短く、1日でも過ぎるとダメなので、事前に打ち合わせをしておいて下さい)。
結婚した・子供が産まれた・離婚した・おばあさんが亡くなった、など扶養家族が増えたり減ったりした時は、健康保険証を添えて手続きをしなければなりません。妻が扶養家族になった場合は、妻の国民年金の手続きをするために妻の年金手帳も必要になります。必要に応じて色々な書類をつけなければならなくなるケースもあるので、まず社会保険事務所に問い合わせをします。
少々面倒な手続です。
健康保険、厚生年金ともに、ボーナスに対しても保険料がかけられています。本人負担分を天引きし、届出を出します。
全員のボーナス額について記入して届け出る手続なので、人数が少なければいいのですが、社員の多い会社などでは、手間がかかります。
次に来る毎月の請求書に、ボーナス分の請求額が含まれて来ます。
あらかじめ社会保険事務所にボーナス月を登録してあるはずですので、その前月になると氏名などが印字された届出用紙が社会保険事務所から送られて来ます。登録した月以外にボーナスが出たなどで届出用紙が送られて来ない場合は、白紙の届出用紙を使って届出をします。
忘れがちな手続ですが、定時決定の時に「ボーナス出てないの? 書類出し忘れなの?」と、しつこく追及されます。出し忘れとわかると、その場で届出書を書かされ、請求書が送られて来ます。
月々変わらない定額の手当を変更した時(基本給はもちろん家族手当とか通勤手当などが変わった時)に、届を出して等級を修正してもらわなければなりません。「月変」とか「月額変更」とか呼ばれている手続です。
等級は、3ヶ月分の給料の平均で決めます。給料の額を変更してから3ヶ月目に試しに計算してみて、等級が2等級以上増えたり減ったりする場合には、届出を出す必要があります。4ヶ月目から等級が変わり、保険料も変わります。(5ヶ月目に来る請求書から変わります)
等級の変更に気がつかなかったり、届出を忘れていたり、わざと届けなかったりしていても、定時決定の時に必ず発覚してしまいます。さかのぼって届出を出さなければならなくなり、差額の保険料もバッチリ請求されてしまいます。
チェックを忘れない様にすると言う点で、とても面倒な手続です。届出書自体はそう難しくはありません。
年に1回、全ての人の等級を総ざらいして決め直しをします。残業量の変化や1等級だけ動く基本給の変化などがこの時にチェックされます。「定時決定」とか「年度更新」とか「算定基礎」とか呼ばれている手続です。
全員の、4月〜6月の3ヶ月間の給料の額を、7月1日から7月10日までの間に届出なければなりません。9月分から等級が変わり保険料が変わります。(10月に来る請求書から変わります)
時期が近づくと、氏名などを印字した届出用紙が社会保険事務所から送られて来ます。
人数が少なければ難しくはない手続ですが、社員の多い会社などでは、とても大変な手間になります。
2〜3割程度の確率で「賃金台帳を見せなさい」と言われます。ウソはつかない方が懸命です。