年金は大変に複雑で難しい制度です。でも、難しいのは度重なる改革によって生まれた「経過措置(=例外規定)」が山ほどあるからであって、基本的な部分については結構単純な仕組みになっています。
人によって受ける事になる例外規定が変わって来る上に、その人の人生をも左右しかねない大きな権利についての説明のために、ほとんどの年金解説本は、その例外規定を漏れなく説明しようとしています。しかし、例外規定をきちんと網羅しようとすると、それだけで数百ページの本になってしまいますし、読者の理解をかえって妨げる事にもなってしまいます。
そこでここでは、「年金制度の大枠は、こんな感じだ」と言うのを感じていただくために、例外規定の説明はバッサリと切り捨て、基本部分を押さえるだけにしておきます。ですから、本章を読んで皮算用をする事は決してしないで下さい。自分の年金について知りたい場合は、必ず社会保険事務所へ問い合わせて下さい。
日本の公的年金は「保険」として作られていて、積立ではありません。
厚生年金は正式には「厚生年金保険」と呼びます。国民年金は訳あって「国民年金保険」とは呼ばれていませんが、それでもほぼ100%保険です。
日本の公的年金には3つの制度があります。
厚生年金と共済年金は、ほとんど同じ仕組みになっています。共済年金に入っている人は、共済組合が説明も手続も手取り足取り面倒見てくれるので、何の心配もいりません。(以後、共済年金の説明は割愛します)
厚生年金は会社員が、国民年金は国民全員が加入すると言う事なので、会社員の人は同時に厚生年金と国民年金の両方に加入する事となります。
種別によって国民年金とのかかわり方が全く違って来るので、自分がどの種別になるのかをしっかりと確認しておいて下さい。
会社が全部やってくれます。
日本に住んでいて20歳になると、自動的に加入になります。しかし、社会保険庁は、どこに誰がいるのか、その人が第何号被保険者になるのかが把握出来ないので、届出が必要です。
第2号被保険者と第3号被保険者については、会社が行ってくれる厚生年金の届出と連動しているので、意識する必要はありませんが、第1号被保険者については市町村役場へ行って届出しなければなりません。
給料×料率 で計算され、給料から天引きされます。半額が会社負担となるので、天引きされるのは半額になります。
(料率…2005年9月〜2006年8月は14.288%)
国民年金に適用外の人でも、次の人は国民年金に加入する事が出来ます。
国民年金は条件が揃えば自動的に加入(強制加入)なのですが、生活苦で支払が困難な人のために、保険料の免除制度があります。
免除で保険料を払わなかった分だけ、老齢年金の額が減りますが、免除の期間は未納扱いにはなりません。
10年以内であれば、免除で払わなかった分の保険料を払う事が出来ます。
会社が保険料を滞納しても、それは本人の責任ではないので、未納扱いにはなりません。
納付期限から2年を過ぎると、払いたくても受け取ってもらえなくなります。
未納が多い人は、保険金を受け取れません。国民年金ばかりか厚生年金も連動してもらえなくなります。
国民年金の未納が多いと、厚生年金も巻き添え食らってもらえなく場合があると言う点に注意して下さい。保険料免除の認定を受ける事が出来れば、その期間は未納扱いにならないと言う点もミソです。
扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。