日本の少子化対策は、手をつけたのが遅ければ、使っているお金もわずかです。
早くから少子化に着目していたヨーロッパ各国では、制度を色々と整備して子育てしやすい環境作りに腐心し、少子化の進行を食い止める事に成功しています。しかし、出生率の低下が止まったからと言ってちょっとでも予算を減らすと、正直に出生率が再び低下してしまう様で、ヨーロッパ各国はお金の力で少子化を何とかしているだけで、根本的な部分では何も解決していないんだと言う事がわかります。ですから、ヨーロッパの行った対策は、あまり参考にはなりません。
所で、少子化問題を抱えていないアメリカは、どう言う対策を行ったのでしょうか?
アメリカも、第二次世界大戦後のベビーブームが終わると、出生率が2人を割り込んでしまったのですが、その後に持ち直して1990年以降は2人をキープしています。ヨーロッパ各国の様に政府が頑張って対策を行ったのかと思いきや、実はあの国の政府はそんなに少子化対策には熱心ではありませんでした。使われている予算もそんなに多くありません。
アメリカの場合は、政府があまり子育て環境整備に関与しない代わりに、民間企業が非常に熱心になって仕事と子育てを両立出来る環境作りに取り組みました。優秀な人材を、子育てと言う理由でミスミス手放すのはいかにももったいないと言う事で、いい人材を確保するためには子育てしやすい職場環境を整備するのは必須だと考えたのです。
社内に託児所を設ける所もあれば、フレックスタイム制を強力に推進して両親が勤務時間をずらす事によって子供の面倒を見れる様にしたり、在宅勤務を推進して子守りしながら仕事する環境を作ったりもしました。
もちろん、育児休業を取っても、職場では誰も文句を言いません。長期の休暇で職場に迷惑がかかる事はあるでしょうが、それは「お互い様」なのです。会社で休んだ人のカバーに入る人だって、いつの日か育児休業を取る時が来るかも知れません。
もちろんアメリカが少子化と無縁なのは、これだけが原因ではありません。続々と入って来る移民がポコポコと子供を産んでいるのも、原因のひとつです。また、移民達はとても貧しく、とても低賃金の労働力となっているため、中流の家庭でもメイドや子守りを雇う事が可能だと言う事情もあります。
それ以外にも、アメリカでは男女が共同して子育てをするのが当たり前なのも大きな要素でしょう。至極当然の事として夫婦で子育てや家事を分担していて、それが常識になっているので、日本人家庭がアメリカに赴任すると、とても亭主関白だった夫でも、その雰囲気に呑まれて子育て参加をする様になるそうです(日本に帰って来ると、元に戻っちゃう人も多いけど)。
日本政府もこれから先、色々な少子化対策を講じて予算を組んで行く事になるでしょう。しかし、その様に政府がいくら旗を振ってもヨーロッパの二の舞いにしかならず、根本的な解決にはつながらないでしょう(何もしないよりはマシですが)。やはり、民間たる私達国民のひとりひとりが、意識を変えて行かなければならないのです。
常識とは、周囲の雰囲気ひとつでひっくり返ってしまう程度のものでしかありません。日本でも夫婦が協力して家事に当たるのが当たり前だと言う雰囲気を、何らかの方法で広げる事が出来れば、日本も少子化問題を解決出来るかも知れません。
扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。