■年金講座 少子化‐現状は?
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

5.5.1. 少子化‐現状は?

 年金が「どうも先行きが怪しくて仕方がない」と言われるのは、1にも2にも少子化が原因です。
 政府もただ黙って少子化現象を見ているだけではなく、色々と調査や統計を取って少子化の原因を探り、対策を取っています。しかし、正直言ってそれらの対策は効果を発揮していません。

 皆さんも、日本は少子化が進んでいると言う実感は誰もが持っていると思います。しかし、だったらなぜ少子化になってしまったのかと言われると、ほとんど全員がピンと来ないのではないでしょうか?
 実は政府も原因が全然わからなくて、だから政府の対策が何の効果も発揮しないのではないかと、私は思います。

 年金を考えるためには、どうしても少子化を避けて通る事は出来ません。でも、少子化は根がとても深くて複雑な問題だけに、ひとつの学問分野として成り立つほどのもので、解説しようとすれば大変立派な分厚い本が書けてしまう代物らしいです。
 そこでここでは、その少子化問題について、ほんの触りの部分だけ紹介したいと思います。

 まず、少子化の現状について見てみましょう。
 少子化は日本に限った現象ではなく、世界の色々な国でこの現象を見る事が出来ます。

先進国はどの国も少子化問題を抱えている
社会が成熟化して来ると、産まれて来る子供の数が減って行くと言われている様です。生活が豊かになり、価値観が多様になって来ると、労働力として子供が必要ではなくなり、子供を持つかどうかの選択の余地が生まれて来ると言う事の様です。
先進国の中でも、第二次世界大戦の敗戦国の少子化が、特に深刻だ
日本とドイツとイタリアの少子化が、先進国の中でも特に深刻です。これらの国では敗戦により国土がボロボロになり、そんな中、戦地からの大量の引き上げ者が押し寄せ、それらの人達が多くの子供を産んで行きました。国土や国の体制が目茶苦茶で、養い切れる人口がとても少なくなっている状態なのに、ドッと人が増えてしまったため、人口問題が勃発。これらの国では戦後しばらくは、人口増加対策にしゃかりきになっていたので、子供を産まない事を奨励していました。そのツケが今頃になって回って来てしまったと言う事の様です。
実は東アジアの方が少子化が深刻だったりする
これまで、日本やヨーロッパなどの先進国の少子化ばかりが注目されていましたが、ここ数年になって、東アジア各国の少子化がすごく深刻になって来ました。出生率が日本よりも少ない国が、すでに東アジアにはいくつもあります。これら東アジアの特徴を分析すれば、日本の少子化問題に対するヒントが得られそうです。
先進国でも、アメリカは少子化とは縁がない
先進国の中では、アメリカだけが少子化問題をクリアしています。アメリカならではの特徴を分析すれば、少子化問題を解決するためのヒントが得られそうです。

 世界の少子化について見た後は、今度は日本の少子化の経緯を見てみましょう。

日本の少子化は戦後すぐに始まった
日本で少子化が始まったのは、実は最近の事ではありません。敗戦直後のベビーブームが過ぎると、すぐに少子化へと向かいました。1975年には出生率が2人を割り込んでしまいました。その後、第2次ベビーブームが起こり(第1次ベビーブームの人達が子供を産む様になって、再びベビーブームとなった)、ちょっとの間だけ少子化はひと息つきました。
現在の少子化はバブル景気がきっかけか?
第2次ベビーブームの後は、しばらくの間は出生率が1.8人で安定していたのですが、1985年頃から再び下がり始めました。それ以来、出生率は一直線に下がり続け、2004年には1.28人にまで下がっています。

 政府が少子化対策を考え始めたのはかなり遅く、1990年になってからです。しかも、中途半端な予算しか組まないので、少子化を止める事が出来ないでいます。
 今の日本では、国家予算に占める高齢者対策と少子化対策の割合は、50%と3%だそうです。これが欧米になると、大体30%と10%になるそうで、日本は海外からは「老人に甘くて子供に厳しい国」と言われている様です。

One Point

 年金として大量のお金を老人にばらまく位なら、その分のお金を子育て中の家庭にばらまいた方がいいのではないかと言う考え方もあります。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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