■年金講座 国民年金の所得再分配機能
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

4.1.2. 国民年金の所得再分配機能

 国民年金の年金額は、純粋に保険料を払った月数に比例しています。保険料を払わない場合は、それに応じて年金額が減額されて行きます。
 一見して、国民年金には所得再分配機能がない様な気がします。

 現在、国民年金の財政に対して、国が税金を使って補助をしています。これは、国民年金の財政がピンチだからと言う訳ではなく、制度創設時の当初から国庫負担をする事が決められていたものです。
 会社が保険料の半額を負担する厚生年金とのバランスを取る事に加え、国民年金に加入する人達には低所得者が多いので補助が必要だろうと言う理由で、国民年金には国庫負担すると言う設計となりました。

 現在は、国民年金を支給する際に、その額の1/3を国庫から出しています。(保険料に国庫を足して積み立てをしている訳ではないです)
 保険料を払う資力がなく、保険料免除の認定を受けた人は、保険料を全く支払わなくても、この国庫負担分(1/3)の年金をもらう事が出来ます。(勝手に未納した人は、この国庫負担分も、もらえません)
 近い将来には、この国庫負担率を1/3から1/2に引き上げる事が決まっています。

 国の税金は、元はと言えば私達国民が払ったものです。つまり、国庫負担が何割であろうと、私達は国民年金に必要な額の全額を負担している事になります。直接支払う保険料と、間接的に支払う税金とに別れているだけなんですね。

 税金は、お金持ちなら稼いだ金額の半額近くを持って行かれています。一方で、稼ぎが乏しい人達は、所得税を課せられる事はなく、日々の消費税しか払っていません。
 金持ちには多くを払ってもらい、貧乏人からはわずかしか徴収せず、それなのに、どちらにも同じ額の年金を支給するのですから、ここに国民年金の所得再分配機能が生まれます。

 所で、あなたの周囲に「国民年金は信用出来ないから払ってないよ」と言う人はいませんか?
 国民年金の保険料を未納で済ませてしまうと、その月数分だけ年金が減ってしまう事になります。払わなかった分だけ返って来ないのならそれでもいいのですが、受け取れなかった年金の何割かは、税金で賄われていた分だと言う点に注目してみて下さい。
 そう、国民年金の保険料を未納すると、あなたが払った税金が返って来なくなってしまう事になるのです。

One Point

 今はまだ国民年金の国庫負担は1/3です。ひと月未納すると保険料の半額に当たる税金がフイになります。しかし、近い将来には国庫負担は1/2になります。その頃にはひと月未納すると保険料の同額の税金をフイにしてしまう事になります。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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