昭和61年大改革の時に、それまで自営業のための制度だった国民年金を、国民全員のための制度に改める事になりました。
国民年金を国民全員が加入する制度にした事によって、それまでは国民年金には任意加入だったサラリーマンの妻達(厚生年金加入者の配偶者)も、国民年金に強制加入させる事にしました。これが、第3号被保険者と呼ばれる人達となります。
それまでサラリーマンの妻達は、国民年金に任意加入している人は少なく、自分の名義の年金を持たない人が大半でした。そのため夫の厚生年金に頼るしかなく、離婚したら無年金になってしまう状況だったのです。いわば「国民皆年金」に穴が開いていた状態だったのを、この改革を期に改善する事にしたのです。
これでようやく、全国民が必ず自分の年金権を持つ様になりました。
しかしだからと言って、サラリーマンの妻達が素直に保険料を払ってくれる様になるのかと言う点に大きな不安がありました。そこで、第3号被保険者の国民年金保険料は、厚生年金制度が負担する事にして、本人は払う必要がない様にしてしまいました。
すると、第3号被保険者には、これまでとは何も変わっていないのに、国民年金の受給権が突然沸いて出て来る事となってしまいます。
これまで夫一人の厚生年金で二人が暮らしていたのに、そのままでは妻の国民年金の分だけ年金が増えてしまう事になります。そこで、給付レベルを調整する事になりました。(これから年金をもらう人達に対して、生年月日に応じて徐々に給付レベルを下げて行きました)
しかしこの調整を行うと、共働きだった場合には年金額が目減りしてしまいます。しかしその点については、考慮される事あはりませんでした。
世帯単位の年金である厚生年金に、個人単位の年金である国民年金をそのまま組み入れてしまったために、この様なつじつまが合わない問題が出て来る事となってしまいました。
共働きの場合、給付が減らされてしまった上に、片働きの妻の保険料を間接的に負担する事になります。ですから、第3号被保険者に対する反発は、現在でも非常に根強いものになってしまいました。
積立金を国民年金に横取りされ、給付は減らされ、「3号問題」で不公平感が煮え、この当時の事をよく知る厚生年金加入者達(特に共働きだった人)は、20年近く経った今でも「国民年金の破綻で自分達が割を食った」と大変に怒っている様です。
扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。