■年金講座 昭和61年改革
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

3.10. 昭和61年改革

 1980年代に入ると、国民年金の財政はどうしようもない状況になってしまい、国は国民年金の大改革をする決心をしました。
 しかしすでに、国民年金単独で改革するには手遅れの状態になっていました。そのためこの時の改革は、国民年金だけでは済まず、厚生年金や共済年金も巻き込んでの大改革になってしまったのです。

 これが1986年の年金大改革です。

 まずは、国民年金の積立金が全然足りません。一方で、厚生年金の方はそれなりの積立金が貯まっていました。そこで政府は、厚生年金の積立金を国民年金に流用してしまおうと考えました。

 それまで自営業者のための制度だった国民年金を、国民全体が加入する年金制度に改める事にしました。
 国民全員が加入すると言う事は、厚生年金加入者も、同時に国民年金に加入する事になります。年金の給付も、厚生年金と国民年金の両方から出る事になります。
 それまでの厚生年金給付の定額部分を、国民年金に置き換える事になりました。それまでの厚生年金加入期間を国民年金加入期間とみなして、国民年金の給付額(=それまでの厚生年金の定額部分の給付額)を計算する事にしました。この加入期間の読み替えによって、国民年金制度が厚生年金の積立金に手を出せる様になりました。

 この改革では、厚生年金の積立金を国民年金が横取りする格好になるので、国民年金の給付額が高額だと批判が噴出しかねません。そこで、国民年金の給付を切り下げる事となりました。
 それまでの国民年金は、25年の加入で厚生年金20年加入と同じ給付レベルになる様なものでした。もし40年加入したとすると、国民年金だけでも豊かな老後が送れる高額な給付になっていたのです。

 そこで、これまで「あなたは25年加入だから、25年分の5万円の年金になります」と言っていた所を「あなた(制度スタート時に35歳だった人)は25年加入可能だった所を全期間ちゃんと保険料を払ったので、満額の5万円の年金になります」と話をすり替える事にしました(もらえる額が同額なので、誰も気がづかない)。これで、満額8万円だった年金が満額5万円に切り下げられる事になってしまいました。
 それまでの国民年金が「豊かな老後のための年金」だったのに、この切り下げのために「老後の生活の基礎を支えるための年金」に、性格が変わってしまう事になりました。

 厚生年金から定額部分が消えて国民年金に移行する事となり、それまで厚生年金に対して行われていた20%の国庫負担も、そのまま国民年金に移行する事となりました。これにより、厚生年金は100%の保険料方式となりました。

 この改革によって国民年金は、保険料と積立金と支給額との間のつじつまが合わなくなってしまいました。同時に厚生年金も、積立金の一部を他の制度に持って行かれる事となり、やはり積立金のつじつまが合いません。
 この時、日本の公的年金は「積立方式」をやめて「賦課方式」に移行する事となったのです。

One Point

 この時誕生した新制の国民年金が、現在私達がお世話になっている国民年金となります。この国民年金は、加入の時は「国民年金」と、給付の時は「基礎年金」と呼び分けられています。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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