■年金講座 厚生年金の誕生
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

3.5. 厚生年金の誕生

 日本での年金制度は、1875年の軍人の恩給制度が最初になります。次いで1940年に船員保険がスタートしました。船乗りは軍人に次いで非常に危険な職業だったので、その人達には手厚い福利厚生が必要だっだのです。
 船員保険は、年金部門こそ現在では厚生年金に吸収合併されていますが、健康保険や失業保険や労災保険は現在でも独自のスタイルで独自運用されています。

 船員保険は、加入者の範囲が船員に限られている上に、保険のスタイルが船員向の独特のものだったので、その制度をそのまま一般の労働者に流用する事は出来ません。そこで、一般の労働者のための年金制度が作られる事になります。
 それが1942年にスタートした労働者年金でした。これが現在まで脈々と続く厚生年金の始まりで、この1942年が日本の年金の事始めと言われています。

 前年の1941年に、後に昭和16年体制と呼ばれる様になる、日本型資本主義のための社会整備がされました。労働者年金もこの時に作られました。
 国力増大のためには、工場労働者の福祉を手厚くしなければならない…そう言う精神で労働者年金は作られました。当時は「企業戦士の恩給」と呼ばれて、もてはやされました。

 労働者年金は男性の工場労働者のみが対象になっていましたが、1944年にはそれを女性や事務職にも範囲を拡大しました。そして名前を厚生年金に改めました。こうして国民の何割かは年金制度に加入している状態を作る事が出来たのです。

 制度は「積立方式」「保険料方式」を採用しました。財源は、100%保険料方式にはせずに、10%だけ税金でまかないましたが、積立方式の方は混じり気のない完全積立方式で、保険料は純粋に加入年数と受取金額と予定利率で算出された数字を、そのまま使いました。(平準保険料方式)
 ただし、物価変動の事は全く考慮されていない制度だったので、その点については将来への問題の先送りになっていました。

One Point

 最低加入年数は20年、支給開始は55歳、終身年金で平均受取期間が10年、40年加入で現役時代の所得の1/2を支給すると言う設計になっていました。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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