■年金講座 財政の方式‐どちらがいいのか?
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

2.9.3. 財政の方式‐どちらがいいのか?

 積立方式は人口比率の変化に強いものの物価変動に弱く、賦課方式は物価変動に強いものの人口比率の変化には弱いと言う、それぞれ相反する特徴を持っています。
 時代によって、物価変動がひどいのか少子高齢化がひどいのかが違いますから、時代によってどちらが優れているのかが変化する事になります。

 日本の年金は、最初の頃は積立方式で運用されていました。しかし、戦後復興と高度成長の時代を経て物価が何桁も変わってしまい、年金財政が大打撃を受けたので、1986年に賦課方式に切り替えられました。
 現在の日本は低成長時代へと入り、物価の変動がほとんどありません。一方で、ものすごい勢いで少子高齢化が進んでいます。このまま年金が賦課方式を続けていたら、やはり年金財政は大打撃を受ける事になるでしょう。

 しかし、だからと言って賦課方式から積立方式には移れないのです。
 積立方式から賦課方式への移行は「今日から積み立てをやめます」と宣言するだけでよかったので、簡単でした。しかし、賦課方式から積立方式に移るとなると、これまで積み立てていなかった分をどこからか調達して来なければなりません。何年にも渡って増税してまかなうか、割増保険料を取るか、と言う事になってしまいます。

 積立方式と賦課方式の切り替えは、一方通行だったのですね。

One Point

 もしも国民の間で「やっぱり積立方式に戻ろう、負担増は仕方ない」と言う機運が高まれば、積立方式に戻る事も不可能ではないでしょう。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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