■年金講座 財政の方式‐積立方式
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

2.9.1. 財政の方式‐積立方式

 年金の財源の調達方法に方式がふたつあるのと同様に、財源の使用方法にもふたつの方式があります。「積立方式」と「賦課方式」です。
(日本の年金制度は「賦課方式」を採用しています)


 積立方式とは、その名の通り、集めた保険料を積み立てておき、将来の年金支給のための原資にすると言うものです。
 将来払う事になる年金額・積み立て期間・予想される利率から、保険料を逆算する事が出来ます。

 積立方式は、保険料と年金額との間に強い関連性があります。収支がはっきりしているので、わかりやすくて仕組みが簡単で確実です。
 そのため、民間の年金保険はもちろんの事、国民年金基金や厚生年金基金、国民年金の付加年金も、全てこの積立方式で運用されています。

 年金制度スタート当初は、なかなか積立金が貯まりません。そんな状態で年金を支給しても何の足しにもならないので、年金がもらえるまである程度の年数を置く事になります。(その間、支出がない分だけ、国は積立金を運用し放題になります)
 制度スタート時にすでに老人だった人やもうすぐ老人な人には、この積立方式では対応出来ないので、別の方法を考える事になります。

 積立方式の最大の利点が「これだけ払ったから、これだけ貯まった」と言う実感がある事です。そのため、不公平感が生まれません。
 また、長年に渡ってお金を預けておく事になるので、年金を支給する頃には膨大な利子がつく事になります。その分、保険料を安くする事が出来ます。

 しかし、その「長年に渡ってお金を預けておく」と言うのが、最大の欠点を生む事にもなっています。保険料を払い始めてから年金をもらうまでの間に、物価がどう変化するのかがわからないのです。
 日本は資本主義の国です。資本主義は、経済が成長を続けなければ成り立ちません。経済成長がある限り、物価はどうしても上がります。その上がり方があらかじめ予測出来ればいいのですが、敗戦直後や高度成長期の様に物価が何桁も変わる事態が、今後ないとは言い切れません。
 なけなしの給料をはたいて払ったはずの年金が、いつしか「はした金」になってしまっていた…そんな事態に陥りやすいのが積立方式なのです。

 積立方式は「今の自分が、将来の自分に対して仕送りをする」と言う事になるので、賦課方式の様に少子高齢化の影響は全くありません。

One Point

 今では30円のクッピーラムネ、私が子供の頃は5円でした。私よりも数年前の世代なら1円、数年後の世代だと10円だったそうです。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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