■年金講座 財源の方式‐どちらがいいのか?
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

2.8.3. 財源の方式‐どちらがいいのか?

 保険料方式と税方式は、どちらが優れているとか言うものではありません。

 年金は、個人が抱える老齢リスクを多人数に分散するためのセーフティネットです。だから保険システムを採用するのが一番です。
 一方、日本の年金は、所得再分配の機能も兼ね備えています。豊かな人から貧乏な人へ、また、絶好調な世代からどん底だった世代の人達へ、所得を移して馴らす事によって、貧困を軽くする目的も持っています。
 年金に所得再分配機能を加える事により、人生それなりでしかなかった人でもそれなりの老後が暮らせる様にしているのです。

 これらふたつの機能を同時に実現するには、年金は保険料方式だけでも、税方式だけでも上手く行きません。両方をほどよく混ぜる事により「保険なのに所得再分配機能もある」状態を作り出す事が出来る様になるのです。

 国民年金は1/3が税金でまかなわれているので、このベストミックスな状態になっています。しかしこのほど、財政が厳しいと言う理由で税金の比率を1/2にまで引き上げる事が決まり、保険としてのメンツを保つギリギリの状態になってしまいました。
 一方、厚生年金は、かつては20%が税金でまかなわれていたのですが、1986年からは税の投入を国民年金に集中させる事となったため、現在では100%の保険料方式になっています。

One Point

「厚生年金と国民年金でひとつのもの」と言う考え方があるので「厚生年金が100%保険料方式なら国民年金を100%税方式にしてもよいのでは?」と言う考え方が出て来ます。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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