■年金講座 財源の方式‐保険料方式
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

2.8.2. 財源の方式‐保険料方式(拠出制年金)

 税方式は、大きな集団で少ない人達を支えるためには一番の方式でしたが、受け取る側の人達の数が多くなって来ると、次々と増税しなければならなくなってしまいます。年金制度スタート時や、一部の貧困者の救済のためならいいのですが、普通に年金制度を運営して行くためには税方式では上手く行きません。

 国民が増税に耐えられれば、税方式でもいいのです。しかし、一度「税金」と言うお財布にお金を集めてから、年金のお財布に必要分を分ける事になるため、本当に年金のための増税なのかがわからなくなり、不安と不満が募ってしまいます。
 どうせ大金を払ってもらうなら「それは将来のあなたのためのお金なんですよ」と言う事をはっきりわかってもらうために、税金としてではなく「保険料」として集めた方がよい事になります。これが、年金における「保険料方式」になります。

 保険料方式の一番の利点は「自分が保険料を払った」と言う自覚がはっきりすると言う事です。
 年金の支給と払った保険料との間に強い関連性があります。また、保険料を払わなかった時の不利益もはっきりしています。
 自己責任や自助努力の精神を育む事が出来るのが保険料方式なのです。

 一方、払わなかった時の不利益がはっきりしているために、保険料を払わない人に対して強い態度で取り立てをするのがなかなか難しいと言う欠点も持っています。そのため国民年金では、保険料不払いを決め込む人が非常に多くなってしまいました。
(強制加入の保険なので、取り立てが出来ない訳ではありません。現に、厚生年金を滞納した会社に対しては大変厳しい取り立てが行われています。国民年金の方はこれからの改革次第でしょう)

 また、純粋な保険料方式だと、保険料を払えない貧しい人達が、老後に無年金者になってしまいます。それを防ぐために、国民年金では100%完全な保険料方式にはせずに、1/3だけ税法式を織り交ぜた形になっています。これなら、全く保険料を払えなかった人でも、1/3は年金が支給される事になります。

注)この恩恵を受ける事が出来るのは、保険料免除を認めてもらった人だけです。勝手に未納した人にはその1/3の年金すら支給されません。

One Point

 国民健康保険では、市町村が「保険料」にするのか「保険税」にするのかを選べます。しかし、ほとんどの市町村が、取り立てしやすい「保険税」を採用しています。

免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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