年金の財源の調達方法には、ふたつの方式があります。「税方式」と「保険料方式」です。
(日本の年金制度は「保険料方式」を採用しています)
新たに受給者が発生した時に、その都度財源を調達すればよいと言う考え方があります。ひと昔前までは、企業の退職金の多くがこの考え方を採用していました。
一見「行き当たりばったり」に見えて危なく思えますが、仕組みとしては非常に簡単なので、受け取る人や支払う金額が少なくて済み、なおかつ財源を支える団体が巨大で安定しているのであれば、この方式が一番よいと言う事になります。
国営の年金が税金を財源として、この考え方を採用すれば、それが年金における「税方式」となります。
毎月私達のもとに保険料の請求書が来るのではなく、私達が普段払っている税金から年金の資金が充てられます。
保険料方式を採用すると、どうしてもその保険料を払えない人達が出て来ます。
また、意図的に払おうとしない人達もいます。
その様な人達が老後になると、無年金者となってしまい、生活苦に陥ってしまいます。
昨今、国民年金の未納を決め込む人達がどんどん増えていて、将来、無年金者が続出する事態になりかねません。結局はその対策のための重いコストを、社会全体で負担しなければならなくなります。
税方式であれば、その様な未納者をゼロにする事が出来るのです。保険料が払えない貧乏な人達でも、ちゃんと一人前の年金をもらう事が出来、貧困対策にもなります。
しかし税方式には、年金の支給と払った税金との間に関連性が全くありません。
税法式では「受益者負担」と言う考え方がすっぽりと抜け落ちてしまうので、税金を払っている人達に、自分達が年金を支えているのだと言う自覚が生まれません。
もしも年金が100%税法式で運用される様になると、保険としての性格がなくなり、福祉の性格が色濃くなります。
日本では、国民年金の制度スタート時に、すでに老人になっていた人達に対して年金を支給する財源として、税方式を採用していました。
「税方式=福祉システム」「保険料方式=保険システム」と理解しても、間違いではありません。
扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。