■年金講座 年金はセーフティネット
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

2.2. 年金はセーフティネット

 日本は社会主義国ではないので、国民がどう暮らしてどう生きて行くのかには、国は干渉して来ません。全てが国民の自由に任されています。
 自由と言う事は、裏を返せば、結果に対する責任を全て自分で背負わなければならないと言う事でもあります。(自由と責任は一体のものです)

 しかし、個人がその責任を負うには、荷が重すぎる場合が時々あります。
 災害や、突発的な事故や病気、突然の解雇など、個人の努力ではどうし様もない事までをも個人の責任としてしまうと、その様な事態に備えて普段から多くの蓄えをしておかなければなりません。ひいてはそれが、国民の経済活動を委縮させてしまい、社会の成長の足を引っ張る事になります。

 そこで国は、もしもの事態に陥っても最低限の生活が出来る様に、数々の制度を整備してセーフティネット(安全網)を作っています。

 年金は、次の各種社会保険と連携・分担して、国民生活のセーフティネットとして機能しています。

健康保険(政府管掌&組合管掌)(会社で入る健康保険)
私傷病による短期間の所得喪失を補償。
雇用保険
失業による短期間の所得喪失を補償。
労災保険
業務上の傷病による短期間&長期間の所得喪失を補償。
国民年金&厚生年金&共済年金
傷病や老齢による長期間の所得喪失を補償。(業務上かどうかは問わない)

注)国民健康保険(市町村で入る健康保険)には、所得を補償する制度はありません。

 セーフティネットには、これら4つの社会保険の他にも、介護保険や生活保護や母子家庭への援助、整備が遅れていますが災害や犯罪被害者への援助などがあります。
 ある制度は皆から保険料を徴収し、ある制度は税金を使って運営されています。直接的にしろ間接的にしろ、私達がこれらセーフティネットを維持運営して行くためのコストの全てを負担しています。

 これらセーフティネットがあるおかげで、私達国民はもしもの事態を心配する必要がなくなり、心おきなく手許のお金を使う事が出来るのです。
 突然不幸が襲い掛かって、いきなり生活が立ち行かなくなり「着たきりで野宿でゴミ箱をあさる」(文化的でない)生活になってしまう…そんな心配をする必要がないのです。

 しかし、これらの制度はあくまでもセーフティネットですから、生活が完全に立ち行かなくなるのを防ぐ程度のものでしかありません。これら社会保障だけで生活して行くのはちょっと無理があるので、やはり普段からの自助努力も欠かせません。

One Point

 これらのセーフティネットは、憲法25条を実現するために整備されているものです。

憲法第25条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
免責

 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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