■年金講座 価値観はいろいろ
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年金は本当に破綻するの?〜若者のための年金講座

番外編 3

価値観はいろいろ

 このメルマガを冊子にしたものを、仲間の社会保険労務士達にも配ったりしています。おおむね好評ではあるのですが、中には大変手厳しいご意見を受ける事があります。
 そんな意見のひとつに「価値観はいろいろなんです」と言うお言葉がありました。

 仲間内の社会保険労務士が集まると、年金談義に花が咲く事があります。「年金が余って仕方がない人がいる」と言う話題がよく出ます。
 普通に生活していると年金が余るので、貯金が増える一方になってしまい、仕方なく旅行三昧してみたりとか、そう言う大変うらやましい人が時々います。しかも、そう言う人達に限って小金にとてもうるさかったりして、「そう言う人からの相談業務なんだけど」みたいな話がよく出るのです。
「世の中どうしてそんなにうらやましい人達がいるんだろう?」と言う話になり(小金にうるさいから大成したのでしょうけど)「自分達は絶対にそう言う人にはなれないだろう」と言う話になります。
 が、そんな時に、私はふと、以前見たNHKの番組を思い出します。「月4万円の年金の半分が余ってしまう人」の事例です。
「おぉ、国民年金でも余って仕方ない人がいるんだ」「年金が余るかどうかは暮らし方次第であって、年金額は関係ないのか?」「そう言う人になら、自分でもなれそう」と言うヨタ話となります。

 月2万円でも暮らしている人がいると言う事例は、以前このメルマガでも紹介しました。
 国内でも、過疎化が深刻な地方になると、移住を奨励している所があります。格安or無料で田畑と家屋を貸してくれて、自給自足をすれば生活費がほとんどかからない生活が出来るのです。
 ですから「国民年金のみの少ない支給でも、老後を心配する必要はない」と言った切り口でメルマガの記事にしました。

 苦言をくれた社会保険労務士さんは、その部分にカチンと来た様です。(同様に、カチンと来た読者も、少なからずいた事でしょう)
 その社会保険労務士さんの話をよくよく聞くと、彼女は田舎で生れ育ち、田舎の生活が嫌で嫌で仕方なく、都会へと出て来たのだそうです。だから、老後になって田舎へ引っ込む事は、全く考えられない、あり得ない選択肢だと言います。

 確かに、都会の生活にどっぷり漬かってしまうと、田舎の不便な生活など想像できない人も多いと思います。
 逆に、都会の騒々しさが嫌で嫌で仕方ない人もいるでしょう。
 確かに、人それぞれに、価値観は違って当然です。

 現役をリタイアした人達は、日々の宮遣えがなくなるので、自分の住む場所を自由に選択出来る様になります。
 老後をどこで過ごすかは、自分の価値観に従って好きな様に決められるのです。
 ただし、都会での生活は、家賃も物価も高いので、非常に高コストな生活となります。都会で老後を過ごしたいと思うのであれば、現役時代からしこたま努力をしなければなりません。
 また、田舎へ移住するにしても、ベタベタな近所付き合いになじめずに、田舎暮らしを断念しなければならない人が多いです。やはり、土地になじむ努力が必要になります。

 国民年金は、定額を支払い定額をもらうものですが、支払いをサボると支給額も正直に減ってしまいます。満額の年金でも少ないのですが、少ないと思うのであるなら、国民年金基金などに入って、せっせと老後資金を貯めて行かなければなりません。
 厚生年金は、現役時代にもらった給料に比例して年金額が決まる様になっています。努力して月々の所得を増やして行けば、正直に老後の収入が増えます。なかなか所得を増やせないのなら、日々の生活を切り詰めて老後資金を貯めなければなりません。
 一部の高額所得者でない限りは「現役時代も老後も」と言う「いいとこ取り」は出来ないのです。

「価値観は多用でも、その価値観通りの老後を迎えたければ、普段からの努力が必要だ」この部分では、苦言をくれた社会保険労務士さんとは意見が一致しました。

免責

 このページは2004年7月〜2005年2月に配信したメルマガを再構成したものです。時間の経過とともに、文中の数字にはズレが生じており、また、制度や世情にも変化が生じている可能性がある事を、あらかじめ御了承下さい。
 扱うテーマが「年金」と言う制度と法律に関するものではあるのですが、概念的な部分を取り上げるため、どうしても厳密さや正確さに欠ける傾向にあります。ですから、何かの判断の参考にする場合や手続きを行う時は、必ず別の情報源でも確かめて下さい。このページの記事により損害が発生しても、補償は一切いたしませんので、あらかじめご了承ください。



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