本来はその人の身分によって健康保険に入るか国民健康保険に入るかが決まるものです。しかし、転職を控えている人や、退職後に健康保険の任意継続と国民健康保険とを選ばなければならない人などは、この「どちらがお得か」で、悩まれるかと思います。
そこで、健康保険と国民健康保険の違いについて説明します。
かつては健康保険で診療所へ行くと自己負担がなく、健康保険がある会社に勤める事がひとつの誉れやあこがれになっていました。しかしその後、健康保険でも自己負担を払わなければならなくなり、その自己負担率も徐々に上がり、今では国民健康保険と同じ3割を払わなければならなくなりました。
国民健康保険との最大の違いが、今ではなくなってしまったのです。
現在、わずかに残っている健康保険と国民健康保険の違いは、次の通りです。
傷病手当金は、普段は滅多にお世話になるものではありません。しかし、いざ大病をすると、こんなに助けになる給付はありません。
あなたがこの給付にどれだけ魅力を感じるかで、お得度を計ってみて下さい。
健康保険の保険料は、皆さんの給与明細を見ての通りです。
社会保険事務所に届けられている皆さんの給料の額の、4.1%が保険料となります。(任意継続の人は、会社をやめる直前の給料の8.2%か、22,960円のどちらか低い方になります)
40歳以上(65歳未満)の人は、介護保険料として、0.625%がプラスされます。
皆さんの給与明細に書かれている金額と同額を、会社が払ってくれています。(だから、任意継続をすると、保険料が倍になってしまいます)
健康保険組合は、政府管掌健康保険とは料率が違うのが普通です。
国民健康保険の保険料の出し方は、市町村によって全く違います。
次の項目を組み合わせて保険料を算出するのが基本になっています。
これらをどの様に組み合わせるか(大抵の市町村は3つか全部か、です)、それぞれの料率をどうするかが、市町村によって千差万別です。
それに、あなたにどの程度の資産があるのか、扶養しているのが何人かによっても保険料は変化します。
ですから、自分がもし国民健康保険に入ったとしたら保険料がいくらになるのかは、市町村役場へ行って試算してもらわない事には全くわからないのです。(よく耳にする「高級取りだと2倍になる」などの俗説を信用しないで下さい。本当に試算しないとわからないのです)
国民健康保険は、以上の通りの保険料算出の仕組みを持っている事から考えれば、一般的には、土地建物持ちである人や、扶養家族がいっぱいいる人などは、どちらかと言えば健康保険の方が安くなる傾向にあり、アパート暮らしの一人暮らしだと、どちらかと言えば国民健康保険の方が安くなる傾向にあります。
これにプラスして、健康保険同様に、40歳以上(65歳未満)の人は、介護保険料がプラスされます。
介護保険の保険料も、市町村によって全く違っています。
結局の所は、市町村役場の国保課に保険料を試算してもらわないと、得か損かは全くわからないと言う事なのです。人により、状況により、まさに人それぞれなのです。
何らかの検討をしている人は、おっくうがらずに、取らぬタヌキをしないで、必ず市町村役場へ出かけて下さい。