2001-10-18

200ml献血問題

問題を理解するための前提

 献血された血液は、全て日赤でちゃんと検査にかけられて、病気が紛れ込んでいないか確かめてから患者さんの所へ届けられるのですが、それでも検査ができない病気もあるわけですし、まだ知られていない未知の病気があるかも知れません。

 つまり、検査はしていても完全ではなくて、少ないなりにもある一定の確率でもって病気が紛れ込んでいる、それが輸血の血液なのです。ならば、どうやって患者さんの安全を確保すればいいのかと言う事になるのですが、ある一定の確率で危ないのですから、一人の患者さんに使われる血液は、できるだけ少人数の献血者の血液でまかなえば、確率的に危なさを減らす事ができる、と言うわけです。

 200mlの全血献血10人分使うよりは、400mlの全血献血を5人分使った方が、それよりも成分献血の血液でもOKな患者さんであるならば、成分献血の2人分を使った方が、より安全であると言う事になるのです。

献血会場で起こっている事

 その様な理由から、日赤の人としては、全血献血よりかは成分献血をして欲しいわけですし、同じ全血献血でも200ml献血よりも400ml献血の方をしてもらいたいのです。それで、献血会場の受付では、私達が「200mlにしますぅ」と言うと「400mlにしませんか」とお願いされてしまうわけなんですね。

 ただお願いされるだけならいいのですが、患者さん達の安全をできるだけ高めたいと言う情熱や、上から課せられているノルマによって先走ってしまって、係の人がついつい強いお願いしつこいお願い無理強いをして来たり、それでも200mlがいいと言う人に対し暴言を吐き、献血する人を不愉快な思いにしてしまう、そんなケースが全国各地にて発生しているのです。これが「200ml献血問題」なのです。

ちまきは、200ml専門

 そんなに嫌なら何で、選んで欲しくない200ml全血献血がメニューにあるのかと言う話になってしまいます。

 全血献血は、成分献血が始まるずっと前からあった古いメニューなので、今でも現役で残っています。そして、200mlも400mlが始まるずっと前からあった古いメニューなのです。言わば、200ml全血献血が、昔からある基本のメニューなので、今でもなぜか残ってしまっていると言う事なのでしょう。

 ちまきが献血を始めた頃は、200mlの献血しかありませんでした。だから200mlから献血を始めました。その流れのまま、200mlの献血に特にこだわって200mlのみで献血をして来ました。ちまきの場合は200mlでも体に結構負担があるので、この位がちょうどいいかなと思ってやっていました。1回だけ、阪神大震災の時に400mlをやった事があったのですが、その後が体が辛くて辛くて2〜3日ほど大変な思いをしたので、今後も400mlは絶対にやらないと心に決めて今日に至っています。まぁ、ごくたま〜に、そう言う体の人もいるのだと言う事ですね。

 幸いにも、ちまきの住む県では、そんなにしゃかりきになって200ml外しをしていないのか、暴言を吐かれたとか、不愉快な思いをしたと言った経験はありません。でも、毎回必ず200か400かの押し問答をやっていますし、ねちねちとしつこいお願いをされる事も多いです。それが当たり前と思って慣れっこになっていて、不愉快に思わないだけなのかも知れませんね。

 でも、献血初心者な方とか、気の弱い方とかだと、こう言う対応されると傷ついてしまいます。それが嫌で「もう献血なんかしない」なんて人がひとり、またひとりと増えて行くのは、大変悲しい事です。

200ml問題以前の問題として

 400mlの方が患者さんのためだからと言う理屈は、大変よくわかります。が、しかし、ちまき的にはそれ以前の問題として献血って本当に患者さんのためになっているんだろうかと言う点で、ひっかかっています。

 アメリカの売血で集めた血で作ったお薬が、日本でたくさんの人を病気にしてしまった「薬害エイズ問題」。それ以来、日本で必要としている血を日本国内でまかなっていないから問題になったのだと言う事で、自給率100%を目指してがんばる様になりました。

 じゃあ、そうすると、このテの問題が何で世界の問題にはならずに、日本だけの問題だったのだろうと言う事になるのですね。

 実は、日本は、世界一血液消費大国なのです。

 もちろん、輸血をしないと命を落としてしまう、切実な患者さんも大勢います。

 でも、こんな使われ方もしているんです。「元気ないねぇ〜、お注射しておこうか」と言って、血液から作ったお薬を使ってしまう。ほとんど栄養剤代わりです。あまりにも安易な使われ方をしているので、他の国の医者達にはとても信じられない光景で、皆、我が目を疑ってしまうそうです。こんな使われ方をしているから、消費大国にもなるし、自給率が下がるのも当たり前なんです。

 皆さん、輸血は臓器移植の一種だと言う事を、忘れていませんか?

 医者も儲かるし、製薬会社も儲かるし、赤十字もお仕事がいっぱいあって嬉しい。原因はそんな所なのでしょう。願わくば、三者間で癒着がなければいいのですが、実際の所どうなんでしょう?

「自分の血液が、栄養剤代わりになる」と思うと、体の一部を提供して患者さんのために奉仕するのだ、と言う気持ちが、どこかに吹っ飛んでしまいます。「なら何でお前は献血を続けるのだ?」と言う声が聞こえて来そうですが、ちまきの献血は奉仕の献血ではなくて、あくまでも趣味の献血なので、「人のため」ではなく、まして「自分のため」でもなく、「趣味のため」献血をしているのですね。

 だからちまきは、今後もがんばって200ml献血で通して行こうと固く決心しているのです。